4.税理士の歴史の話

私たちが普段よく耳にする税理士という職業。この税理士という職業が誕生したのはいつでしょうか。皆さんはご存知ですか。ここでは職業としての税理士の歴史について紹介していきます。
現在大河ドラマで坂本竜馬の伝記が放映されています。これに限らず最近は何かと幕末がよくクローズアップされている気がします。この江戸幕府の末期から明治維新、そして明治新政府の誕生は近代日本史における大きな転換点で、私たちの現在の生活に関わる多くの物事がこの時期に誕生、或いは変化しました。税理士の歴史を語る上でも、この明治維新に触れないわけにはいきません。
大政奉還によって江戸幕府が倒れ、明治天皇を中心とした明治新政府に政権が受け継がれます。明治政府はその後間もなく廃藩置県の実施や士農工商の身分制度を廃止する等して、江戸幕府による旧体制を変革していきます。ですがこの過程において、税制だけは変革が手付かずで、しばらくは江戸幕府体制での税制が引き続いて採用されていました。一方で廃藩置県によって廃止された各藩の負債を明治政府が引き継ぐ等、こうした過渡期にともなう混乱によって明治新政府の財政事情は苦しくなり、税制の転換と整備を迫られることとなりました。
こうした中明治維新から6年経った1873年に地租改正と呼ばれる条例が公布されました。これによって土地所有者に納税の義務が課せられました。つまり収穫量に応じて地価が決められ、その地価が課税基準となって土地所有者が納税するという新しい税務体制が発足しました。当時、国税全体に占めるこの地租の割合は約8割にも上ったと言われ、このことはつまり当時の明治政府が農業から上がる税金に大きく依存していたことを意味していました。
江戸時代、当時の日本において人口の多くの部分を占めていたのは農民でした。そして江戸時代の中期になって商工業が反映してくると、それに従事する人々も増え、次第に大きな経済力を持つようになってきました。明治になってからもこの流れは続き、社会において商工業者の力が大きくなっていきました。明治政府もこれを見逃すはずが無く、これらを主な対象とした税制が整備されていきます。1887年の制定された所得税、同じく1897年に制定された営業税は共に国税として採用され、商工業者からの納税を確実に徴収するものでした。これによって当初国税に占める農民からの税金収入が圧倒的に多かったのが、商工業者からの納税額の割合が高まっていきました。

こうした税制の変化、言い換えれば税金負担の増加に、当の商工業者たちが敏感でないはずがありません。彼らの中には、退職した税務官吏や、或いは税金や会計の知識のある者に、税金に関する相談をしたり、或いは申告の代理を依頼する人たちが現れました。新たに多額の課税を強いられた商工業者たちから見れば、税金とは難解で厄介なものであったでしょう。そこで税金の知識のある者に知恵を借りて、少しでもお得な納税方法を考えて実行し、自分たちの生活を守ろうとしたのでしょう。ここで商工業者たちの相談を受けたり、彼らに代わって申告を代行した退職税務官吏や税務、会計に精通する者たちが、今日の税理士のルーツではないかと言われています。

Last update:2017/4/3